私の拳は見事に鳩尾に入り
和十君は倒れた。


そしてこの光景を見ていたのは
憂と稜牙君だけだった。


稜牙君に見られたのは
ヤバいな。

だって凄く驚いてるし。
ああもう、自分が嫌になくる。


「桜沢、今和十に何した」

「…あ…えっと…殴ってしまいました?」

「俺に質問すんな」

「…すいません」


怒られる…絶対に。
だって意味もなく殴ったから。
理由があると言っても
私自身の勝手な理由だ。


「和十君…すいません…大丈夫ですか?」

「あぁ…いきなり来たからビビッた」


ニカっと可愛らしい笑顔を見せて言った。
あまり痛くなさそう。
力は弱めて…よかった。


「本当にすいません」


私はしっかりと頭を下げて謝った。


「殴ってくれても構わないので許して下さい」

「いーよ、それに女の子を殴るなんて
 逆に怖くてできねーよ」

「和十が舞莉を殴ったら
 マジ許さねーから!
 一生呪ってあげるからね」


憂は軽く殺気を出して、
黒い笑顔を和十君に向けて言った。

それには和十君も凄く怖がってた。


「…やめてくれ…!
 お前のその笑顔怖いから!黒い!」

「黒いってなによ、黒いの駄目なの?」


憂は和十君の反応を面白がっていて
未だにからかうのをやめない。

2人は笑顔で会話をしているの。
でも、稜牙君は…

私の方をジッと見ている。

凄く緊張するなあ。
これは一体どうするべきなのだ。