紅佐離


「いってらっしゃい」

「ねぇちゃん、じゃあね」


淳哉は遅刻せずに
ギリギリに着いた。

いつもより15分程遅れてる。

これはきっと遅刻だ。
でもとりあえず駄目元で。




-キーンコーン…カーンコーン-


「やっと着きました」

学校は淳哉の保育園から歩くと
30分程かかるのでちょっと疲れた。

本気で走ってないから
20分程かかったし。

というか、Niceタイミングって
感じ。
だって、チャイムと
同じタイミングで着いたから。

って急がないとな。でも…

もういいか。
なんか面倒くさいし。
諦めよう。

それに1度トイレに寄って
髪を縛りたいし。

よし、もう歩いて教室まで行こう。



私は途中でトイレに寄り、
髪を縛ってから教室に向かった。



-ガラッ…-


みんなの視線が集まった。

なんだか緊張した。
けど気にせず席に着く。


「桜沢、遅刻だぞ」


1限目は担任の先生の授業だった。


「すいません」


私は一言謝り席に着いた。

すると、憂に背中を軽く叩かれたから
先生がこっちを見ていない隙に
後ろを向く。


「どうしたんですか?」


私は憂に訪ねた。


「いやいや
 その言葉そのまま返すから…
 で、なんで遅刻したの?」

「寝坊したからですよ」


いい訳も何もせずに本当の事をいう。
憂に嘘をつくと後が怖いから。


「寝坊か…昨日早く寝なかったの?」

「えと…早かったですね…でも」

「“でも”何」


少し言いづらい。

憂はあの事を思い出したくないと思うから。


「おい、桜沢!前向け」


迷っていたら、先生に注意された。
というか先生…
オーラが黒い。
なんか面白い。

からかいたい気持ちを抑えて
“すいません”と謝り前を向きなおした。

憂は小さな声で“後でね”と
言ったので私も小さく頷く。