「ただいま」


淳哉は玄関に向かって走っていった。
まだ髪の毛かわいてないのに。


「たくにぃおかえり」

「おぉ、淳哉、髪まだ濡れてんぞ」


淳哉は凄く嬉しそうに、稜牙君といたとき以上の笑顔で、拓兄に話しかけていた。






桜沢拓(さくらざわたく)
   高校3年






「拓兄、お帰りなさい」

「舞莉、ただいま。
 ちょっとダチ連れてきたから」

「そっか」

「あとでお茶3つ頼む」

「はい、わかりました。淳哉、おいで」


私は淳哉を連れて、リビングに戻った。

そして、拓兄の部屋に持っていくお茶を用意した。


「淳哉、ちょっと待っててね。
 拓兄の部屋にお茶置いてくるから」

「うん…」

淳哉は少し寂しそうに返事をした。
やはり、兄に構ってもらいたいんだ。

今度、拓兄にお願いしてみよう。



-コンコン…-


「どーぞ」


私がノックをすると中から拓兄からの返事が返ってきた。


「失礼します」


部屋の中には拓兄を合わせて3人いた。
みんな、髪の色がそれぞれ。

ちなみに、拓兄の髪は黒髪に赤と青のメッシュ。

拓兄は族に入っていて、喧嘩が強い。
総長ではないが、県のトップの族の幹部をやっている。


「お茶です」

「ああ、さんきゅーな」

「彼氏いるのー?」
「かわいいねー」


早く出よう。


「人の妹を口説くな」

「あ、じゃあ失礼します」


私はササっと置いてリビングに戻った。