「ねぇちゃんのつくるコロッケおいしい」

「ありがとう」

淳哉はいつも“おいしい”と言ってくれる。凄く嬉しい。

兄にも食べてもらうのだが、当たり前に何も言ってくれない。
少しさみしいかな。


「りょうが、おいしいな!ねぇちゃんのごはんはすげーんだぞ」

「あぁ」


一言だけ。
おいしいと言ってくれるともの凄く嬉しいけど。
そんな我儘はいけない。

稜牙君はお皿に盛り付けた分、全て食べてくれた。
それが嬉かった。


「桜沢、失礼するわ」

「はい、ありがとうございました」

「りょうが!たのしかったぞ、またきて」

「あぁ、また来るよ。じゃあな」

「はい、学校で」


私は稜牙君を玄関まで送り、リビングに戻った。


「淳哉、楽しかった?」

「うん、すっごいたのしかったよ」


キラキラ眩しい笑顔で答えた。
本当に楽しかったんだと、そうわかる。


「お風呂入る?」

「うん、はいるー」

「じゃ、ちょっと待っててね」


私は淳哉をお風呂に入る用意をした。


「淳哉ー、お風呂場においで」

「うん」


淳哉は走ってきた。
服を脱がせて体や頭を洗い、温かい湯船につけてあげた。


「温かい?」

「うん、きもちいいよ」


7〜8分程湯船につかっていたらのぼせてきたのか、“もうでる”と言ったので体、頭を拭いて服を着せた。


そして、丁度そのタイミングに



玄関のドアが開いた。