稜牙side




「りょうがー!
 これはなここをひっぱるとすごいんだぞ」

淳哉は初対面にも関わらず、楽しそうに話しかけてくれる。

その姿が可愛らしい思う。


今日初めて話をしたクラスメイト。
そんな桜沢の家に来てしまっている、展開早すぎだ。

まあ、俺がOKしたからなんだが。





桜沢舞莉はクラスでは目立たない存在だった。

だから話す機会などないと思っていた。
話したい、興味を持つこともなかった。


だが、話をしてみると
本当にいい奴で綺麗だとさえ思う。





和十は誰にでも同じように接し、かっこいい場面もある奴だ。
その反対に俺はどちらかと言うと周りと関わらず、話しかけづらい奴だと思っている。

和十に言われたことだから信じていいのか微妙だが、ある程度見た目を整えればかっこよくなれると。

所謂“爽やか系”になるらしい。

俺は目が悪いから眼鏡をしている。
だからはずさない。



でも、桜沢は違うと思った。
さっきの淳哉との会話を聞いたから。




以前桜沢は別のクラスの奴に呼びだされていて
女子間のいじめ的なことが起こるのだろうか、と思いながら見ていた。
だけどいじめに行ったであろう奴らがすごい悔しそうにして帰ってきた。

何をしたのか凄く気になった。
だから俺は桜沢の“前の席”というのを利用して盗み聞きをした。

和十に“趣味悪いぞ”と言われたが、実際和十も一緒に聞いていたから同罪だ。



桜沢と佐々木の話を聞いていて2人は怖いものがないのかと思った。

“いじめるなら1年生からにしてよ”







俺は喧嘩するのが好きだ。


だから、というわけではない。
女のいじめを軽くかわした奴だ。


本当の姿というのが見てみたい。

だたの興味本位だ。
それ以上のものは何もない。