紅佐離


私は雷斗のおかげで今此処にいる。
雷斗がいなかったら私は死んでいた。
だから、感謝してもしたりない。

でも、そのせいで雷斗は…。


「…ありがとな、舞莉もお前らも」


智は小さく微笑んだ。
柔らかくて優しい笑顔だ。


「よし、しんみりした話はおしまい!
 行きますよー!」

「はいはい、悠樹落ち着いて」
「うん!マリリンも行こ」
「だな」
「あぁ」


琥珀が私の手をぎゅっと握って歩き出す。
それに合わせてみんなもついて来る。

あ…稜牙君が戸惑ってる。
まあそりゃそうか。
急に知らない話になってたし。

部屋に戻り私は稜牙君に声をかけた。


「稜牙君…なんか大丈夫ですか?」

「…え、ああうん」

「誰?こいつ」


まあごもっともな質問だよね。
さっきいなかったし。


「ああ、さっき智いなかったね。
 佐伯稜牙君だよ」

「ふーん」


夏輝が教えてくれてるのに興味なさそう。
自分から聞いたのに…。


「はぁ…全く…闇虎だよ」