紅佐離


私たちは智がいる奥の部屋へ向かった。

琥珀は私の手を握ってる。
貌龍の倉庫に来ると
琥珀は必ず私の傍にいてくれる。
きっと、私を不安にさせないように。

ありがとう。


ーコンコンー


「…誰?」

「私だよ」


ーバンッー


「うお!」
「うげ!」


私の声を聞きドアを思いっ切り開けた。
皆驚きの声をあげてておもしろい。

部屋の奥からは
寂しそうな智が出てきた。


「……舞莉…」

「智…ごめんね」

「…いや、…もう大丈夫か?」

「うん、大丈夫。
 私は平気、そんなに弱くない」


ーぎゅうー



琥珀が私の手を強く握りしめてる。

きっと弱音を吐いていいよって
言ってるんだろうな…。
でも…、駄目だよ。
私は強くならなきゃ、今よりもっと。
雷斗を取り戻せるくらい、強く。