「なんで鍵なんか持ってんだよ」
「秘密ですよ。
拓兄からのプレゼントです」
「へ~、ここの卒業生だったのか」
「違うよ、全く」
私が笑いながら答えると
稜牙君は驚いた表情をした。
「違うのにどうやってゲットすんだ」
「そこは…企業秘密ですね~」
「なんだ、残念」
稜牙君が微笑みながら答えた。
稜牙君がこんなふうに
笑ってるのを見るのは初めてな気がする。
心臓が…ドキドキいってる。
階段を一気に上ったからかな。
…そうだよね。
―ガチャ―
屋上の重たいドアを開けて外へ出た。
久しぶりに来る屋上…
なんだか懐かしい。



