チャイムが鳴ったから
席に急いで着いた。
でも、気になってた。
大丈夫なのか。
奏のことは信用してるけど…
裏切りなんて簡単だから。


「舞莉」


憂が後ろの席から私を呼んだ。


「なんですか?」


先生に気づかれないように
後ろを向いた。


「さっきのは何なの?」

「奏が稜牙君のことを探してたんです」

「なんで」


やっぱり無理だ。


「ごめん、憂。
 後でちゃんと説明するね」


私はそう言って席を立ち、
先生が何か言っているのを
聞き流し稜牙君と奏を探した。

きっと何もないと思う。
だけど、喧嘩したって言うのが
分からなかった。

そりゃあ男の子だから
喧嘩とかするとは思うけど

族の奴と対等に戦うなんてすごい事。

だから稜牙君にもなにか絶対に裏がある。
私は確信することができた。

私は廊下を走った。
誰もいない廊下を…

すると…
体育館裏に奏の姿がチラっと見えた。
だから私は全速力で走った。

体育館裏まで。