「お姉ちゃんかっこいいやろー!海君、メガネとったらもっとかっこいいのに…。」
「そ、そうかな?」
「うん!絶対とった方がいいよ。」
「里菜、滝沢君とは、どこで知り合ったん?」
「普通に学校が一緒やねん。」
「ってことは、同じ中学校なんや。」
「そうやで!」
あたしは意を決して、滝沢君に聞いてみた。
「滝沢君…。お兄さんとか、いるん?」
「はい。鈴蘭高校の二年生に…。」
「それって、滝沢龍?」
「はい。でも僕は、兄が嫌いです。喧嘩ばっかりで、全然家にも帰らないし…。」
「そっか…。」
「お姉ちゃん。海君ね、私達と一緒で、両親がいないんだ。」
「そうなんだ…。てことは、お兄さんと二人暮らし?」
「はい。」
それから五分程話して、あたしは二人を残して家を出た。
また倉庫に戻って、みんなに召集をかける。
「真希さん、どうしたんすか?」
「そろそろ、滝沢の所に乗り込もうと思ってる。」
その発言に、みんなが騒ぎ出す。
「真希さん。とうとう行くんすね?」
「うん。明日には行くから、今日はゆっくり休め。酒買ってきたから、明日絶対勝ってみんなで祝おうぜ!」
『おー!!!!』
ここにいる奴らはみんな家族がいなくて、この倉庫で寝泊まりしてる。
あたしは家があるけど、みんなはこんな所で寝てるのに、あたしだけいい思いできひんから、あたしも基本ここで暮らしてる。
「真希さん。滝沢のグループ、俺らの倍の人数いるらしいっすよ。」
「気持ちからそんなんでどうすんだよ!達也、あたしアンタのこと、副番長としてすげー信頼してんだからな!」
「真希さん…。ありがとうございます!それと、すいませんでした。」
「うん。達也も早く寝ろ。」
「はい!失礼します。」