美紀ちゃんをめがけて、男は鉄パイプを振り上げた。

こんな最低な女、死んでしまえばいい。

あたしが助ける理由なんかないんや。



そう思ってたはずやった。

散々傷つけられたんや、あたしが助けることない。


心の中ではそう思ってるはずやったのに、体が勝手に動いた。




「っ!!」


頭に、鋭い痛みが走った。

ドサッ


龍、美紀ちゃん…


手を動かそうとしても、動かへんかった。


「真希ー!!!!」

あたしの所に寄って来る加奈。

そして一瞬、加奈は立ち止まった。

多分、血のせいやろう。

あたしの頭からは、血が出ていた。


それでも加奈はあたしを抱き上げた。


「何…で来たん…あほ。」

あたしは、加奈の頬に手を添えて言った。

泣き出す加奈。



ごめんな。本間ごめん。
あたし、いつも泣かせてばっかりやな。


そう思いながら、段々と遠のいていく意識の中、パトカーと救急車のサイレン音が聞こえた。