あたしは複雑な気持ちのまま、部屋から出る。


「あ、真希さん。目どうしたんすか?腫れてますよ?」

「ちょっとあって。」


すると、達也と目が合う。
達也は気まずそうな顔をしながら、あたしに近づいてきた。


「さっきは、ごめんな。」

あたしは慌てて首を横に振る。


「あたしこそ、ごめん。」



本当は分かってるんやで?
達也は、あたしに自分の気持ちを気づかせるために、こんなことしたんやんな?
自分が傷つくことを承知のうえで…。


ごめんな、達也。


辛い思いばっかりさせて、本間ごめん。


あたしは達也の頬にそっと手を添えて、笑顔で言った。





「ありがとう。」


達也の目から、また涙があふれてくる。


あたしは達也の頭を自分の肩に乗せて、みんなから達也が泣いてる姿を見せへんようにした。