そう思ってたのに

帰る方向が同じだとかで送ってくれる。



せめて名前ぐらいは聞いておけば良かったかな。


悪い事したな…そう思いながら


まだ一人で喋る彼に、適当に相槌を打つ。



罪悪感を抱きながらも、やっぱり興味が持てない。


ごめんね…。



そう思いながら、角を曲がった。



『家あそこだから…ありがと』



一応お礼を言った。



「今日楽しくなかったっしょ?」



そう聞いてくる彼に何も答えれなかった。



「笑顔見たいなぁって思ったけど

俺じゃダメみたいだね」



そう言う彼の視線に目を向けると

家の前に人影が見える…。



お姉ちゃんかな?



眼鏡をかける程ではないけど

視力がいいって訳でもない。



「じゃ」



そう言って彼が手を振るから

お辞儀をして、家の前へと駆け出した。