【短編】ねぇ…私を見て?

「本当に好きな奴って何?」



その問いかけにとうとう涙が溢れた。



笑って終わりにしたかったのに…。


どこまでも、許してもらえない…。



『っ…お姉ちゃんの事、好きなくせに!!!

この前だってお姉ちゃんとデートしてたくせに!!!』



冷静でなんていられなくなった。



「…舞歌とデート?!」



ようやく顔をあげたルーくん。




『もう誤魔化さないで!!!』



優しいルーくん。


でも…惚(とぼ)けるなんて優しさじゃない…。




涙を拭う事なく、一度溢れた心は…


言葉は止めれなかった…。




『私の事は一度も優歌って呼んでくれた事ないのに!!!

知ってるんだから…ルーくんが

ずっとお姉ちゃんの事を好きだった事も

私がお姉ちゃんの妹だから、仕方なく付き合った事も…


もう嫌なの!!!


大好きなお姉ちゃんに嫉妬するのも

卑怯な手でしかルー君縛り付けれない

どす黒い自分自身も…


好きすぎて切ないのも苦しいのも嫌なの!!!


もう終わりにしたいの!!!』



これじゃただのヤツあたりだ。




でも…もう終わりにしたい。



傍にいたい気持ちで誤魔化し続けたけど

苦しいんだ…。




涙で歪んだ先にいるルーくんの表情は見えないけど

纏う空気が唖然としているのがわかる。