それから何日もたちました

ヘンゼルとグレーテルはある不安を持ちました

あの魔女はやはり自分達を太らせて食べようとしているのではないかと

あの魔女は慎重で、最後の時まで自分達を騙して優しくしているのではないかと……


グレーテルは、魔女にいいました

「私もお手伝いするわ!」

魔女は嬉しそうに笑ってグレーテルのお願いをききました

パンのタネをつくり、スープを煮込み、あとはかまどでパンを焼くだけです

魔女はかまどのふたを開くと言いました

「かまどは熱くて危ないからね。私が火をみてこよう。グレーテルはそこにいるんだよ」

魔女がかまどの火を確認しようと頭を入れたとき、グレーテルは魔女の背中を押しました

そして素早くふたを閉めると閂をしてその背で押さえました

中からは魔女の声が聞こえてきます

『どうしたんだい、グレーテル。開けておくれ。ここは熱いのよ。あぁ……熱い……。助けておくれ。熱い……あぁ……熱い……熱い……』

やがて魔女の声が聞こえなくなり、かまどからはなにかが焦げる音と匂いがしました


「やったわ、お兄様!わたし、魔女を殺したわ!あぁ……これで安心ね。ここで二人でずっと幸せに暮らせるわ」