まずは身体を治してから復讐すると心に誓ったからだ。逮捕される前に…。それから立花は毎日病院に来ては色々と世話をする様になった。2週間が過ぎ、そろそろ退院が近づいてきた。私は生花の手入れをしている立花に『色々世話になった。例の件は記事にしないと会社は決めたらしい。俺もそれでいいと思ってるよ。ただ、最後にやらなくてはいけない事がある。その前にお前を疑った事を謝っておきたいんだ』立花は手を止め私を正面から見つめながら『いいんです。疑われている事は薄々感じていました。それよりも私を心配して頂いた事の方が嬉しくて…』暫く二人は沈黙し、部屋の前の廊下を行き交う人の声やストレッチャーを転がす音がだけが耳に入ってくる。黙っていても心地よいと感じた女は初めてかもしれない。私は立花の手をとり、首の後ろに手をまわし、引き寄せ、キスした。暫くすると『人がきます…』と言って私の腕から離れた。そして『私も仁科さんが好きです。だからもう危険な行動はやめて下さい。私は…ジャーナリストとしてではなく、人間としてのあなたが好きです』私は失った耳の跡に手を当て『ありがとう。でもこのままで済ませたら俺は男でなくなる。必ず戻るから安心して待っていてほしい』と言ってもう一度手を握った。

