「んな笑うなよ。」 ずっと笑ってた私に、ちょっと拗ねたように先生が言う。 「ごめんなさい、でも先生素敵です。」 本当に、心から。 全然、恥ずかしくもない。 「だって、そういうのが本当に数学を愛してるってことだと思いますよ。 それをちゃんと素晴らしいって分かってる、ちゃんと言える先生は素敵です。」 「桜井…」 先生は、私の名前だけ呼ぶ。 時間が止まったかのように、先生から目が離せられない。