「ベリルだ」

 さして表情のない顔が杜斗を見上げた。

 こわごわだった時弥は相手が人間だと安心し明るく笑う。

「えと、俺は向井 時弥。こっちが八尾 杜斗」

 気さくに紹介した時弥を杜斗はジロリと睨んだ。

 そのままベリルと名乗った青年に目を向ける。

「なんのつもりなんだ? 俺たちを怖がらせて喜んでいたのか」

「そんな趣味はない」

 しれっと応えた。そしてベリルは逆に質問を返してきた。

「お前たちこそ何故ここに入った」

「……」

 杜斗はしばらく黙って青年のエメラルドの瞳を見つめる。

「肝試しか? 不純だな」

「うるせぇよ」

 威圧的に発した杜斗にも青年はその表情を崩さない。