自衛隊員はむやみに発砲しないように教育を受けている。

 日本人の気質からも気楽に引鉄(ひきがね)を引く事は無いだろう。

 彼らの安全を考え銃を渡したがベリルはそれを少し願った。

「!」

「え?」

 ベリルが突然、走り出した。

 そして暗闇で姿が見えなくなったあと──

「ぐえっ!?」

 うめき声と共に大きなものが倒れる音がする。

 時弥たちが恐る恐る近づくと、ベリルの足下に見知らぬ男が倒れていた。

「わっ誰?」

「敵に決まってんだろ」

 気絶している男の顔に懐中電灯の灯りを当てて杜斗がつぶやくように発した。

「早業だな」

 苦笑いを浮かべてベリルに目を向ける。

 ベリルはそれに先に進むようにあごで示した。