少しずつ静かに霊安室の階段に向かう3人。

 時弥は一番後ろでビクビクしながら杜斗の服の裾を掴んでついてくる。

 扉の壊れた病室を通り過ぎる──そよ風がベッドに散らばっていたガラスの破片にいたずらを仕掛けた……カチャアアァァ……ン……

「わああああぁぁぁ!?」

「うるせぇよ!」

「黙らんかー!」

 時弥の叫びと杜斗の大声についベリルも声を張り上げてしまった。

「……」

 3人は同時に口を塞ぐ。

 しばらく顔を見あせて沈黙……杜斗は誤魔化すようにベリルを見て発した。

「武器、余分に持ってるんだろ? 俺たちにも分けてくれよ」

「自衛隊員でも使用は許可されていないだろ」

 的を射た返しにぐうの音も出ない。他国にいるとはいえ日本人で自衛隊員だ。

 銃を使用した事が知れればタダでは済まない。

「あんたが言わなきゃバレない」

「自信がない」

 ニヤリと言い放ちながら腰からハンドガンを取り出した。

「SIG(シグ)か」

 よく手入れされているオートマチックを受け取り杜斗は眺めた。