「あんた1人って事は相手は少数って事か?」

「大勢で取引するような場所でもない」

「見張りとかは?」

「倒して縛り上げてある」

 ベリルの答えに杜斗(もりと)は小さく口笛を鳴らした。

「しかしよ……傭兵がこんな仕事すんのかよ」

 もっともな意見にベリルはクスッと笑った。杜斗を一瞥し階下に降りていく。

「傭兵だけの仕事では収入はあまりない」

 それに、ああ……と納得したような声を2人は上げた。

「!」

 ラフな恰好をしているベリルの後ろ姿に杜斗はふと気付く。

 ぱっと見、解らないが……かなり武装してないか?

 普段からこうなら、ちょっと怖い人物かもしれない。

「ひっ」

「……」

 相変わらず周りの音に怖がる時弥(ときや)に杜斗は呆れて右手で顔を覆った。