「その後、
声をかけようとしたら
109を出てしまって……。
すぐに追いかけたわけです。
怪しいオジサンでごめんね」
真鍋さんは
ハニ噛むような笑みを浮かべ、
軽く頭を下げた。
「あの時は、
あたしも驚きましたが、
知っているタレントさんがいる事務所で安心しました」
「私も娘のことなので
心配でしたが、
ちゃんとした事務所で安心です」
あたしとお父さんが
軽く顔を合わせたところで、
真鍋さんが
本題を切り出した。
「じゃ……
うちで
頑張ってもらえるかな?
萌香ちゃんの良さをアピールして、
売り込んで行きたいんだ」
真鍋さんは
微笑んでいるが、
目の奥は真剣だった。
真っ直ぐと
見つめる視線は
あたしの眼球を
突き抜けて行くようだった。
……どう答えたら良いのかな?
あたしは
お父さんに向き返る。


