代々木公園の
出入り口に来ると、

千代田線の
地下へ繋がる入口を見つけた。


あたしは
そのまま階段を駆け下り、

ひんやりとした壁にもたれた。



どうしよう?


どうしよう?


あたしだけ逃げてきちゃった……。



涙がどんどんと溢れて来る。


乱れた髪をかき上げ、

バッグからケータイを取り出した。



指が震えて、

うまくボタンを押せない。



プルルルルル……、

プルルルルル…………



「はい、お疲れさま♪」



あたしは真鍋さんに
電話をかけていた。



「真鍋さん……、

あたし……、

どうしよう……」




声が震えて、
うまく話せない。

涙が更に込み上げ、
頬を伝って行く。



「ど、どうしたの?

ゆっくりで言いから
ちゃんと話して!」



あたしの動揺した様子に、

真鍋さんも
只毎(タダゴト)ではないと察し、

慌てた口調になる。



「淳平くんが、淳平くんが……、

あたしのせいで、
怪我させちゃって……」



どう説明して良いのか、
分からない。

うまく言葉が出て来ない。


そんなあたしに
真鍋さんは

「今居る場所は?」と
質問を変えた。