あたし、脱ぎます!《完》



車は地下駐車場に入り、

ひんやりした
コンクリートの空間に車を停め、

あたしたちは
エレベーターで上の階へ上がった。



既に
アポイントを取っている真鍋さんは、

「着きました」と
電話を入れると、

ガラスのドア越しに
背の高い綺麗な女性が現れ、

ドアを開けてくれた。



「どうぞ、
お入りになってください」と

爽やかな笑顔。



あたしは
真鍋さんの後に続き、
中へと進むと

パーテーションで区切られた
小さな部屋に通された。

真鍋さんの横に
腰を下ろすと、

指で軽く髪型を直される。



ガチャと扉が開き、

40代の小太りなオジサンが
大量の書類を抱えて、

部屋に入ってきた。



「お待たせしましたぁ」



書類を
テーブルの上に置くオジサンは、

真鍋さんと名刺を交換する。



「あはは」と
ハンカチで
額の汗を拭きながら、

陽気な笑い声を上げる
この方は、
戸山健二さんというCM業界では有名な方らしい。



「永井萌香ちゃん、
グラビア見たよ。

君みたいな
透明感のある子は久しぶりだな」



戸山さんは
目尻を垂らし、

あたしを真っ直ぐと見つめた。



「あ、ありがとうございます…」



何だか緊張して、
うまく言葉が出て来ない。

この人の一声(ひとこえ)で
CMが決まるのか……と思うと、

下手なことは言えない。