その時、
玄関のドアが開く音が聞こえ、
「ただいま〜」と
ノーテンキなあの人が帰ってきた。
沈黙を破る
助け舟のようなお母さんの声。
今日だけはグッドタミング!!
スーパーの特売を買い込み
両手の塞がったお母さんの額から
汗が流れている。
「いや〜ホント、熱いわ。
……雄ちゃん、
萌香のセリフを付き合ってくれてありがとうね」
お母さんはビニール袋をカサカサをさせながら、
あたしの持っている台本を覗き込んだ。
「へえ〜どのシーン?
……あら?
キスするところ?
何?
ホントにキスしたのかしら?(笑)」
お母さんの
何気ない質問に、
リビングに変な空気が流れた。


