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「ちょっと!!押さないで!!
観えないから!!」
強引という言葉でしか
表現出来ない佳代は
人を掻きわけ、
ステージの
真っ正面までやってきた。
あたしは
その後を申し訳なそうに
付いて行く。
「ゆーすけく~ん♪
ゆーすけく~ん♪」
佳代は
ステージ上で
チューニングをしている雄介に
黄色い声で手を振る。
雄介も
それに気付き、
軽く視線を向け
「よっ!」と、
右手を上げ
小さくウインクをした。
その姿に
周りの女の子も
「きゃっ♪」と
吐息交じりの声を上げる。
「ちょっと!
今のウインク、
私してくれたんだよね?
萌香も見ていたでしょ?!」
ムキになる佳代に
「う、うん……」を苦笑で答える。
雄介のファンって
多いんだな。
入学した当初、
雄介目当ての女の子から
「協力して」って
何度もお願いされたっけ。
雄介が
彼女と別れた情報は
既に広まり、
ここにいる女の子は
“彼女の座”を
狙っているようだった。
体育館に作られた
特設ステージ。
暗幕が
閉められた体育館は
ステージだけに
照明が当てられている。
ギターを
肩から下げた雄介が、
大きな音を
ステージ上に響かせると、
スタンドマイクを前に立った。


