「萌香ちゃん。
リラックスだよ。

大きく
深呼吸して

何か面白いこと考えてごらん」



ERIさんの声に、

大きく息を吸い、
ゆっくりと吐いた。

そして
面白いことを思い出してみる。



んんんんん……。


んんんんん……。


面白いことって何かある?



佳代が
うるさくしていた男子を蹴ったら、

股間に
当たってしまったこととか。


お母さんが
フラダンスの衣装で、
廊下で踊っていたら、

宅配のお兄さんに見られたとか。



えっと~。

えっと~。



「じゃ。もう一回行くよ」



星野さんは
再びカメラを持ち、

レンズを覗き込む。



「そうそう。良いね。

そういう自然なのが良い!」



面白いことを
思い浮かべると、

自然な笑顔になって行く。


そんなあたしを
また勢い良くシャッターが切られた。



「OK!

良いよ。

ちょっと確認する」



星野さんは
またパソコンを覗き込み、

真鍋さんと顔を見合わせた。



「良いね」

「これが使えるな」と

言葉を交わしている。




「萌香ちゃん、OK。

お疲れさま。着替えて良いよ」



真鍋さんの声が響いた。