一緒に笑顔でいてくれるのかな?
忘れないからねって言ってくれるのかな?

私はそんな思いを抱えて学校に向かった。
教室はいつもと同じでにぎやかだ。
ただ私だけが事実を知っていることだけが苦しかった。
もっと仲良くしたい人だっていたのに・・。
好きな人だっていたのに・・。

そんなことだけを思うと悲しくなり
荷物を片付け終わると机にふせて泣いた。
みんなに聞こえないように。
震えないように。
だけどそんなの無理。
このクラスの仲間、先生。
思い出がまだ少ししかできていないのに・・。
まだみんなの知らないところのほうが多いのに。
何も知らないで分かれるなんて嫌だよ。

すると私に築いた親友の美穂が
「どうしたの?何かあったの?話してみなよ。ねぇ、由紀?」
と、言葉をかけてくれた。

するとほかのみんなも私に気づいた。
心配そうに見つめてくる。
この学校で泣いたのは初めてかもしれない。
そんな私をどう思っているのかな?
何も知らないみんなはこの事実を知ったら・・・。
もう会えないかもしれないと知ったら・・。

そのとき先生が入ってきた。
先生は私が転校する事を知っている。
その話をどうやって始めるのか。
今話すの?
でも、今泣いている私を前に出して発表するのだろうか。

すると先生が言った。
「みんなに大事なお知らせがある」
そう言った。
絶対私のことだ・・・。
「日野原由紀さんが転向することになりました。」
やっぱり・・・。