『あの2人は、私の父の取引先の専務の弟の婚約者の隣に住むおばあさんの初恋の相手の家庭教師の孫の同級生の甥なの』 「……」 『……』 「……」 『さよならー……』 重苦しい空気に耐えられなくて後ずさると、トンと何かにぶつかった。 慌てて振り返ると、銀髪に空色のメッシュの男。 『綺麗……』 思わず今の状況も忘れて、思ったままのことを口に出してしまった。 あっ。 もしかしなくても、男の人に“綺麗”なんて言ったら失礼なんじゃ……。