そんなことを考えていると、いつの間にか目の前には立派な扉。 わざわざ案内してくれたんだから、失礼なこと思っちゃ駄目だよね。 『ありがとう。すっごく助かった』 いや、まじで。 「いいよ。またね」 私はしばらく扉の前で、去って行った男の子に癒されていた。 だって、入ってしまえば本当に面倒くさいんだもん。 ……なんて、ずっと言ってもいられないしね。 ―――コンコン 『失礼します』 私だって、ノックする常識くらいある。 名乗ることまではしないけどね。 「おぉ、亜美。よく来たな」