龍の女神となるべき姫【上】



『今日から転入するんだけど、理事長室がわかんなくて』



「そっか。なら、案内してあげる。
おいで、こっちだよ」




にっこり笑う男の子に思わず見惚れていると、男の子はどんどん進んで行ったから、慌てて追いかけた。




でも男の子の後を付いていくうちに、冷静になっていくと。


あれ?おかしい。



はじめに男の子が声を掛けてくれたとき、どうして私は気配に気づかなかったの?



蝶凛の歴代最強と言われ、“天姫[ソラヒメ]”という通り名を持つ私なら、気づくはず。



もしかして、この可愛い見た目に騙されちゃ、駄目なんじゃ……。




「ここだよ」