『今日から転入するんだけど、理事長室がわかんなくて』
「そっか。なら、案内してあげる。
おいで、こっちだよ」
にっこり笑う男の子に思わず見惚れていると、男の子はどんどん進んで行ったから、慌てて追いかけた。
でも男の子の後を付いていくうちに、冷静になっていくと。
あれ?おかしい。
はじめに男の子が声を掛けてくれたとき、どうして私は気配に気づかなかったの?
蝶凛の歴代最強と言われ、“天姫[ソラヒメ]”という通り名を持つ私なら、気づくはず。
もしかして、この可愛い見た目に騙されちゃ、駄目なんじゃ……。
「ここだよ」

