龍の女神となるべき姫【上】




「ちっ。認めたくねぇ……」



《何か言いました?》



「何も言ってねぇよ!!」





あぁ、嫌だ。だけど亜美のためだ。


仕方ねぇな。




「なぁ。亜美を一晩泊めてやってくれ」



《……何、企んでるんすか?》




企む?ばか言え。



誰が好き好んで、可愛い妹を男の巣窟ん中に放り込むかよ。



俺が、さっきからどれほどバイクのキーに手が伸びそうになんのを堪えてることか。




でも、こいつなら安心して任せられる。



少ししゃべっただけだが、よくわかった。




―――こいつは、いい男だ。




もともと、風龍の悪ぃ噂は聞いたことねぇしな。