龍の女神となるべき姫【上】



……本当は。


こんな役、やりたくなかった。



きっとお前は、俺を“しょう”だと思ってんだろ?



ライバルのふりして安心されても、少しも嬉しくねぇ。



それどころか。


胸が痛ぇ。




けど。



お前を安心させてやれんなら。


お前の苦しみを和らげてやれんなら。



こんな痛み、どうってことねぇ。





だから、


だから―――



「頼む、から……少しは、頼れよ……」





俺は、亜美の穏やかになった顔を見つめ、額にキスをひとつ落とすと、静かに部屋から出ていった。