……本当は。 こんな役、やりたくなかった。 きっとお前は、俺を“しょう”だと思ってんだろ? ライバルのふりして安心されても、少しも嬉しくねぇ。 それどころか。 胸が痛ぇ。 けど。 お前を安心させてやれんなら。 お前の苦しみを和らげてやれんなら。 こんな痛み、どうってことねぇ。 だから、 だから――― 「頼む、から……少しは、頼れよ……」 俺は、亜美の穏やかになった顔を見つめ、額にキスをひとつ落とすと、静かに部屋から出ていった。