龍の女神となるべき姫【上】



……。



嬉しかった。



素性もわかんないような奴の言葉が、ただただ嬉しかった。




僕らが今まで噂してる奴らを放っといたのは、期待してたからでもあったんだ。




“嵐龍はそんなことしない”

“そんなのただの噂だ”


誰かがそう言ってくれるのを。



待ちわびて。


諦めかけてた言葉を言ってもらえて、涙が出るほど嬉しかったんだ。





でも、ナイフ男はそんなことで引き下がるようなできた人間じゃなくて。




「……綺麗事ばっか言ってんじゃねぇよ!!」




小柄な男に殴りかかっていった。