暗闇に光る銀色の物体―――ナイフが背後で振り上げられていた。
ナイフは躊躇いなく、小柄な男へと降り下ろされる。
やばい……!!
いきなりすぎて誰も動けない。
―――が、そいつは顔色ひとつ変えずにひょいっと避けた。
その拍子にフードが外れたが、全くの無傷なようだ。
そいつは、ナイフを持つ男の手を掴みながら、目を真っ直ぐに見据えて語りかけた。
『いくら負けて悔しいからって、こんなもん持ち出すんじゃねーよ。
誰だって負けることはあるんだ。
それを認めてこそ、人は強くなれる。
今のお前じゃ、絶対嵐龍を抜かせねぇ』

