『今まで嵐龍のために、何を言われても我慢してたんだろ?
今日だけじゃなく、昨日も一昨日もその前も』
どうしてわかるんだろ?
ここでキレたら嵐龍の評判が悪くなる。
ありもしない噂を、また広められる。
そう思って我慢してきた。
『その思いをこの一瞬で踏みにじんのか?
我慢してたのはお前だけじゃなく、他の3人もなんだぞ?』
「……。そうだな。
悪ぃ。お前らは必死で我慢してたのにな」
「何言ってんねん!!
悠基のおかげですっきりしたわ」
「これ以上、嵐龍をなめられたら困るしね」
「いい見せしめになったでしょう」
「……。ふっ。さんきゅ。
誰だか知んねぇけど、お前も。
お前のおかげで大切なことに気づけた」
悠基が僕たちや小柄な男に礼を言って、和やかな空気が流れたそのとき―――
「……危ねぇ!!」

