やっぱ駄目か。
僕はそいつの正体云々よりも、悠基を止められなかったことに落胆した。
でも、そいつから予想外の言葉が返ってきた。
『ま、俺もそう思うけど』
―――え?
僕は耳を疑った。
つまり、
男Aに生きてる価値はない
イコール、
死んでもいい
ってことだよね?
悠基を止めときながら、それって一体どういうこと?
さすがの悠基も殴る手を止めて、そいつを凝視してる。
『ん?何かおかしいこと言った?
俺もそう思ってたから、今まで止めなかったんじゃん』
ずっと見てたのかよ!!
と、思わずツッコミそうになる。
でも次の瞬間、そいつの纏うオーラが一変した。
何て言うか。
茶化すような空気から、包み込んでくれるような空気になった。

