黒い人影が目の前を横切った。 黒いパーカーを羽織って、フードまで被ってる。 突然の登場と、喧嘩の中心に近づいて来たことに驚いた。 性別はわかんないけど、僕よりも小柄だ。 『やめなよ』 多分男の、低く透き通った声。 どこまでも届きそうな声に、悠基がぴくりと反応した。 『殺人犯になっちゃうよ?』 そいつの言葉はストレートだった。 でも、それを聞いても悠基は。 「こいつに生きてる価値なんかねぇ」