龍の女神となるべき姫【上】




黒い人影が目の前を横切った。



黒いパーカーを羽織って、フードまで被ってる。




突然の登場と、喧嘩の中心に近づいて来たことに驚いた。




性別はわかんないけど、僕よりも小柄だ。




『やめなよ』




多分男の、低く透き通った声。



どこまでも届きそうな声に、悠基がぴくりと反応した。




『殺人犯になっちゃうよ?』




そいつの言葉はストレートだった。




でも、それを聞いても悠基は。




「こいつに生きてる価値なんかねぇ」