でも華那さんは、誰にもそのことを話さなかった。
いや、話せなかったんだ。
日に日に痩せていく華那さんを、総長は尋常じゃないくらい心配してた。
総長と華那さんが1週間の旅行に行き、笑顔で帰ってきた次の日だった。
―――華那さんが自殺したのは。
1通の手紙だけを残して……。
その手紙に、何が書いてあったのかは知らない。
でも総長は。
華那さんの遺体を見ても、
手紙を読んでも、
―――泣かなかった。
それどころか、一切表情がなかった。
そして、嵐龍は今のように荒れ果ててしまった。
誰も総長を癒せなかった。

