龍の女神となるべき姫【上】



でも華那さんは、誰にもそのことを話さなかった。



いや、話せなかったんだ。




日に日に痩せていく華那さんを、総長は尋常じゃないくらい心配してた。






総長と華那さんが1週間の旅行に行き、笑顔で帰ってきた次の日だった。





―――華那さんが自殺したのは。



1通の手紙だけを残して……。



その手紙に、何が書いてあったのかは知らない。




でも総長は。


華那さんの遺体を見ても、


手紙を読んでも、




―――泣かなかった。




それどころか、一切表情がなかった。




そして、嵐龍は今のように荒れ果ててしまった。





誰も総長を癒せなかった。