幸せという病気

「・・・あんたのとこの妹さん。それにかかったのは知ってるか?」


「・・・遥ですか・・・?」


「あぁ・・・こないだも発作で倒れた。発作も二回目だしな・・・どんどん体力も奪われていくはずだ・・・おそらくもうずっと病院暮らしだろう・・・」


「・・・」


「あいつらの親は今あんたしかいない」


「・・・はい」


「ワシが言えるのは・・・ここまでだ」


「・・・」


「武も大事な話みたいだな。何があっても・・・結局あんたはいつまでも親なんだよ・・・」



そう言い残し茂は出て行った。



その五分後。


「なんの話したんだよ」


武が父親に伺う。


「大人の話だ」


それに対し、父親が少し曇った顔で答えると、武は遥について話し出した。


「今日は遥の事なんだけどさ・・・」

「・・・あぁ」

「あいつ今入院しててさ・・・」

「そうか」

「そうかって・・・心配じゃないのかよ」

「心配したって俺は牢屋の中だぞ?」

「・・・でさ、こいつ、遥と結婚するんだ」


そう言い、武が竜司を紹介すると、竜司は深々と頭を下げ自分の名を名乗る。


「結婚か・・・すればいい」

「ってかなんでそんな言い方なんだよ!」


そして父親の冷めた態度に武が腹を立てると、竜司は武を止め、父親に話し掛ける。


「・・・すいません、知らない所で勝手に・・・遥さんの親父さんに会えてよかったです・・・」


それを聞くと、父親が武に問い詰めた。


「どうして遥は来ないんだ武」

「・・・どうしてって・・・そりゃ・・・」

「幸せ病なんだろ?」


父親は真剣な顔で伺う。


「・・・幸せ病だって知ってたのか・・・」

「・・・このクソ坊主殴らせろ」


そう言い、父親は鋭い目で竜司を見た。