「これを遥が見る時・・・俺はその場にいないつもりだったからさ・・・なんか目の前で見られるとやっぱ恥ずかしいな・・・」
「・・・一生って・・・」
「・・・その指輪は・・・婚約指輪」
「・・・婚約指輪?」
「十八歳で結婚嫌?」
「・・・ん~ん。する」
「するって言い方ねぇだろ・・・」
遥は涙を拭いて笑顔になると、冗談めかして竜司に感謝を伝える。
「・・・てか、もっとロマンチックがよかったぁ~。病院で、しかもボロボロで・・・」
「ごめん・・・」
「ん~ん。ありがとぉ」
「どういたしまして」
「こんなに嬉しい誕生日・・・今までにないょ・・・」
「そっか」
「ホントに・・・ありがとぉ」
二人は婚約をした。
遥が十八歳になるほんの二時間前だった。
『あなたを一生、大事にします』
遥の手に渡されたその言葉が、遥にとっての幸せそのものの証だった――。
