幸せという病気


「誰ですか?」



竜司が武を見て尋ねる。



「・・・伊崎遥の兄だよ」


「・・・お兄さん・・・ですか・・・」



武は黙って目を瞑り、その三秒後目を見開き思い切り竜司を殴りつけた。


「てめぇ何をたらしこんだ馬鹿ヤロー!」


倒れこんだ竜司は何がなんだかわからぬまま、聞き返す。


「・・・何がですか・・・?」

「誰の妹に手ぇ出してんだよ!」

「・・・あんた・・・遥の兄ちゃんでも、わけわかんない事言ってんじゃねぇよ!」


突然の事に、竜司も武を殴り返した。


「てめぇのせいでな!てめぇのせいで・・・遥が死んじまうんだよ!」


そう言い、武がもう一発殴ると、竜司はどういうことだと伺う。


「ハァ・・・ハァ・・・てめぇ・・・なんで遥と出会うんだよ・・・」

「出会うって・・・」

「てめぇと出会わなけりゃ・・・」

「何かあったんですか」

「・・・おまえと付き合うようになってから・・・あいつ幸せそうだったんだ・・・でもまさかって思ってた・・・」

「まさかって・・・」

「・・・なんでてめぇは血ぃ流して倒れてねぇんだよ!おかしいだろーが!!」


武はそう言いもう一度殴りかかる。

遥が幸せ病にかかったと気付いた竜司は、何の抵抗もすることなく武に殴られ、壁にもたれるように倒れこむ。







放心状態だった・・・。







少し落ち着きを取り戻し、武が続ける。