幸せという病気

「いっぱいできたよ〜?康介君に、るいちゃんにねぇ、え〜とねぇ・・・」


「・・・あ〜っそうかそうかっ。香樹、友達は大事にしろよ?いっぱい遊んで、みんなで楽しい事探さなきゃな。喧嘩したりしてもいいぞ?」


武がそう話し出すと、香樹はあまり聞いていない感じでまた遊びだす。


「聞いてるか?おまえ・・・でももしな?友達が辛そうにしてたら、どこにも行っちゃ駄目だからな?自分が辛くてもそいつの側にいてあげるんだぞ?何回も言ってるんだけども・・・もう覚えたか?これ」


「僕難しいの嫌・・・」


つまらなさそうに香樹は武の目を見て、もういいよと言わんばかりに訴えかけた。


「・・・まぁ、勉強より簡単だよ。難しい話はやめて・・・じゃあ今度の日曜日お兄ちゃんと野球しよう野球」


「うんっ!」


野球の話になると、一変して嬉しそうに香樹は返事をする。





貧しい生活ながら、家族は繋がっていた。





そして二人が風呂からあがると、テーブルには晩御飯が出来ていた。

四人は一つのテーブルを囲み、母の命日を締めるご飯を食べ始める。



そして、何気なく祖母が武に尋ねた。


「武、仕事はどうなの?」

「普通だけど?」


口にご飯を含み、モゴモゴしながら武が答える。


「・・・あんた歌手がどうとかはもういいの?」