「うん・・・お父さん痛い?・・・嫌だよぉ・・・死なないで・・・」
「ありがとう・・・ハァ、ハァ・・・香樹・・・お父さんな?・・・最後に香樹とたくさん話せて・・・」
「・・・お父さん!!!!」
「幸せだったよ・・・」
その言葉を聞き、香樹が部屋中に響き渡る声で泣き喚いた瞬間、遥の病室では武が竜司の体を起こし、話し始めた。
「竜司・・・おまえに頼みがあんだ・・・」
「・・・はい・・・」
力の無い竜司に、武は一言一言しっかりと語り掛ける。
「俺の机の引き出しにCDがあるから・・・」
「え?」
「それを明日・・・ライオードに持っていってくれねぇか?」
「それって・・・」
「力作だから」
「・・・力作?」
「俺の夢・・・おまえに託したからな?」
「えっ・・・でも・・・」
「・・・俺はおまえの夢・・・叶えてやっから」
笑って武が竜司の肩をポンッと叩くと竜司は、武本人は行かないのかと尋ねた。
「行かねぇ・・・ってか行けねぇっぽいからさ」
そして武は医師に頭を下げ、遥のもとへと近づく。
「遥・・・もうちょっとだけ・・・我慢してくれな?」
そう言うと、武は静かに病院の外へと出る。
