「お父さん・・・頑張って?・・・」
そしてその父の強さを感じ、段々と香樹の口調が強くなる。
「・・・お父さん!!」
もう・・・。
そこにいる全員が、涙をこらえきれない・・・。
長い年月・・・。
「お父さん!!頑張って!!・・・死んじゃ嫌だ!!」
一緒にいたくてもいられなかったその親子は、ようやく愛を確かめるかのように手を握り合う・・・。
いつか・・・父親は面会に来た茂に、その想いを伝えていた。
《伊崎・・・どうしてあんた程の男が・・・あそこまで・・・確かに弟さん、邪魔な存在だったのはわかる・・・しかし、殺してしまう程憎かったのかい・・・?》
《・・・波川さん・・・貴方には、大事なモン・・・ありますか?》
《ワシにか?・・・何故だ?》
《大事なモンを傷付けられても、怒らないのが立派な人間ですか・・・大人ってやつですか・・・・俺はそうは思わない・・・・大人だろうと、政治家だろうと・・・腹から怒る事だってあるはずだ・・・》
《・・・残念だが・・・世間では通用しない》
《しかし所詮、人間なんです・・・幾ら着飾っても、幾らカッコつけても・・・そんなに強い生き物じゃない・・・俺なんかは・・・本当は弱さの塊です・・・だからあぁゆう結果でしか助けてやる事が出来なかった・・・でも・・・あの子達は違う》
《ん?》
