幸せという病気



それと同時に遥は危篤に陥った。


また、ベッドの上の父親は、死を直前にした遥を自分の命で繋ぎ止め、激しく苦しみ出す。
それはまだ、我が子を死なせたくないと願う、父親の最後の抵抗だった・・・。




「伊崎!!しっかりしろぉ!!」



その姿を見て茂がそう叫ぶと、そこに祖母達三人が駆けつけた。





「・・・伊崎さん・・・来てくれたんですか・・・?」





ドアの前に立つ祖母の姿を見て茂が声を掛けると、祖母はゆっくりと息子のもとへ歩み寄る。
















一方、武はベッドの上で目を覚ました。


目覚めた瞬間に自然と流れていた涙を軽く拭うと、遠くで竜司の声が聞こえる。










「遥ぁ!!死ぬなぁーっ!!!」










その声を聞くと武は起き上がり、声のする方へと向かった。

やがて遥の病室に辿り着くと、武は必死に叫ぶ竜司に声を掛ける。





「竜司・・・」





竜司はその声で振り返ると、武の姿を見て気が緩み・・・。















「武さん・・・遥を・・・」











「・・・」

























「遥を・・・助けて下さい・・・」















すがるようにその場で泣き崩れた・・・。