幸せという病気


「あぁ。ずっと願ってた・・・大きく成長した香樹の姿を想像してな。俺にはそれが精一杯だ。何の愛も与えてやれなかった・・・せめて・・・俺なんかの願いで可愛い息子を救えるなら・・・そう思って毎晩毎晩・・・・・だから香樹はもう、この先幸せ病で死ぬなんて事・・・絶対無いはずだ」

「・・・そうなのか?」

「それだけ親の愛は強いって事だよ」

「・・・」

「そして本来なら・・・武と遥はもう死んでるはずだ・・・」

「そうだろうな・・・」

「だが・・・こんな最低な父親からのせめてもの気持ちだ」

「え?」

「少しの間、お前達二人が死ぬのを引き止めておいてやるから・・・」

「親父・・・」

「残りの人生、おまえの好きなように生きろ」

「・・・あぁ」

「それから・・・遥に感謝しろ?」

「え?」

「まぁ・・・今にわかる。あと、遥から伝言だ」

「なんだよ・・・」

「お兄ちゃんも諦めるな・・・だってよ?」

「・・・そう・・・」

「武。おまえはすでに俺を超えてるからよ」

「・・・」

「俺はおまえを尊敬してる。頑張れよ?武」













夢の中の父親と遥の願いが、現実へと降り注ぎ・・・そして武の命は続いていく―――。