幸せという病気

やがて何も無い空間で父親と遥は意思の疎通を図る。


その時二人は、互いに同じ夢を見ていた。




「遥・・・」

「お父さん・・・体、大丈夫?」

「俺なんかの心配して・・・おまえは優しい子だなぁ」

「そんな事ないよ・・・?」

「遥。香樹の面倒みてくれてありがとな?」

「うん・・・」

「それから・・・悲しい思いばかりさせて・・・すまない」

「ん~ん、平気。お父さん?」

「なんだ?」

「私ね?結婚したの」

「そうか・・・おめでとう」

「結婚式とかしたかったなぁ・・・新婚旅行とか」

「・・・そうだな」

「花嫁姿見たかったぁ??」

「あぁ。もちろん」

「私やっぱり、もっともっと生きてたかったょ・・・」

「・・・」

「でもね?初めて人をあんなに好きになれて・・・なんていうか、すごい強くなった!」

「・・・強く?」

「うん。お兄ちゃんに言われたんだぁ」

「・・・なんて?」

「諦めるなって」

「そうか」

「だから後悔してないよ?彼を好きになった事も、この道を選んだ事も・・・」

「あぁ」

「例え、惨めに見えても・・・これが私の誇りだから」

「・・・ん?」

「自分に嘘をつかずに生きた事が、私の誇り」

「遥・・・大人になったじゃねぇか」

「ありがとぉ・・・あのね?お兄ちゃんを・・・助けてあげて?」

「何?」

「まだお兄ちゃんはやり残した事がたくさんある」

「ダメな兄ちゃんだなぁ~」

「へへっ。だから、ほんの一瞬でもいいからお兄ちゃんを戻してあげてほしいんだ」

「・・・おまえは?」

「私は・・・このまま最期を待つから」

「・・・だが・・・」

「きっとなるようになるよっ。多分運命は始めから決まってる・・・だからお願いお父さんっ!お兄ちゃんを助けてあげて?」

「・・・」

「じゃあ・・・もうこれでさよならだね・・・」

「遥・・・」








「バイバイッ!お父さん!!」