「香樹・・・ごめんな・・・?」
武は思い出す―――。
《・・・香樹にとっての家族は・・・その六人なのかい?》
《ん~・・・ホントはお父さんとお母さんがいたらいいなぁって思うけどね?僕、みんながいるから淋しくないよ?》
《・・・香樹は強いなぁ》
《だから僕・・・》
《ん?》
《僕・・・ずっとみんなで仲良く暮らしたい・・・》
でも・・・。
本当は、お父さんに会いたかった・・・。
本当は、お母さんに抱き締められたかった・・・。
当たり前のように両親と暮らす同級生達が羨ましかった・・・。
授業参観、運動会・・・。
親子が仲良く話しているその光景が羨ましくて仕方無かった・・・。
「僕、やだよーっ!!みんなとずっと仲良く暮らしたいもん!!だから誰も死んじゃ嫌だぁ!!!」
だけど辛くても仲良く、頑張って暮らしているこの家族が・・・。
「僕・・・みんなが大好きだもん・・・」
香樹の自慢だった――。
