幸せという病気



「・・・なんでおまえが諦めてんだよ!!!」




それに対し、遥は反発する。




「私だって・・・私だって諦めたくなんて無いよ!!!」




「じゃあ変な事言うんじゃねぇよ!!」




「わかってんの!?お兄ちゃん!!!普通の病気じゃ無いんだよ!?じゃあどうやって治すの!?どこも悪いとこ無いんだよ!!ただ見守るしか・・・それしかないじゃんっ!!」




「だったら生きて幸せになってくれって願え!!!」




「・・・えぇ?」




「もっともっと・・・死なせたくなかったら・・・竜司に生きて幸せになって欲しいって願い続けろ!!」




「・・・そんな・・・願ってるよ・・・」




「おまえがこんな病気に負けんじゃねぇよ!」





そして伊崎家では・・・。


「ただいまぁ!!」

玄関を開けランドセルを置くと、香樹はすぐにまた外へ出ようとした。

「香樹!?」

祖母が居間から呼び止めると香樹は振り返り、何かと聞き返す。


「・・・香樹・・・おばあちゃんと病院へ行こ?」

「僕、竜司兄ちゃんのとこ遊びに行くよぉ?」

「・・・竜司兄ちゃんはね・・・?」

「ん?」

「とにかく・・・一緒に行くよ?」

「・・・うん」

祖母は言葉に詰まり、その事実を伝えられぬまま、タクシーを呼びすぐに病院へと向かった。

不安げな顔の香樹を抱きかかえながら・・・。




一方の病院の廊下では、武が諭すように遥へ想いをぶつけていた。